「花仕事のパートナーであるハサミとナイフは、フローリストの大切な仕事の一部であり、なくてはならないモノである」
これは、花仕事に就いている私はもう絶対に同感ですし、全国のフローリストの皆さんもそう思っている…ハズです。
とはいえ、
- いざ、いつも持っているハサミをどのシーンで使い分けたらよいの?
- ハサミとフローリストナイフって、どんな種類があるの?
- 新しく購入しようと考えている
- ハサミ、ナイフのメンテナンス方法を知りたい
という方もいると思います。
そこでこの記事では、花仕事のパートナーであるハサミ・ナイフがいっそう愛着を持てるよになれる、現役花屋に就いているフローリストの観点から解決していきます!
具体的には、
- ハサミの種類と使い分けを覚えよう
- フローリストナイフの利点を知って使えるようになろう
- 安全性を考えた取り扱い方を知ろう
- 衛生面に配慮してメンテナンスを心がけよう
を、中心に書いていきます。
これからガーデニングや植物手入れを始めようという方や初心者でも気軽に読め、花仕事に就いている方は、仕事のパートナーであるハサミ・ナイフに、もっとさらに大切に扱い愛着を持つようになれると思います!
花資材 ハサミの種類
フローリストが使うハサミには、作業内容や切る対象や花植物の種類によっていくつかの種類があります。
目的に合った使い分けができるようになるのと、毎日使う道具なので自分の手にフィットする合った自分専用のモノを持ちましょう。
大抵の花屋には、お店用に予備の花バサミが置いてあり、それを借りて使うのも良いですが使用消耗が激しく刃が擦り切れていることもあり、使いにくいこともあります。
デザインハサミ【アルスコーポレーション クラフトチョキ】
ハサミのなかでもっとも汎用性のあるタイプで、基本の道具として一丁持っていると大変便利です。初心者向き。
- 花のカット、枝別れ・つぼみ等の整理、ワイヤー(細い)のカットまで幅広く使うことができる
- 刃の形状が細長く先端がとがっているため、細かい作業にも適している
- 刃を閉じた状態で、バラの茎をしごくことでトゲ取りとして使用することができる
枝切りハサミ【坂源 ハンドクリエーション古流タイプ】
刃が短く肉厚な形状のため、デザインハサミではカットすることができない太い枝のものや何本もの茎をまとめて切断するときに使います。
剪定ハサミ【アルスコーポレーション・ミニチョキデラックス】
太い枝のもの・硬いものをカットする際に使用する専用のハサミです。
小さい力でも硬いものが切れる構造になっていて、刃が特殊な形状のため細かい作業には全く不向きとなります。
紙切り用ハサミ
包装紙・ラッピングペーパー・リボン・麻ひもなどの花以外のものをカットするためのハサミ。
100円ショップなどのはさみは切れ味が悪いことが多く、切り直しや時間がかかったり切れ端がギザギザになってしまうことがあるので、文具店や百貨店などで購入がおススメ!
花資材 フローリストナイフ
フローリスト専用のナイフのことをいいます。
生花を扱うには、花を長持ちさせることが大事であり、一番花を長持ちさせる切り方がフローリストナイフです。
- ①花の繊維をつぶさない②茎の断面を大きくする ことで花の吸水力を保つ・オアシスに挿しやすくなる。茎の導管が潰れずに水揚げも良くなる。
- 花をスピードアップしてアレンジできる。手に握ったまま花を活けることができるため、無駄な動きが減り、花を活けるスピードが速くなる。(お店でお客さまから注文を受けた際などに、急ぎで作る場面が出てくる)
- ハサミは、茎をはさむように力を加えるため、水の通り道である導管が潰れてしまいがちになる。
- ハサミを使った場合は、切った後、テーブルやシザーケースに入れないといけないため、フローリストナイフに比べると手間がかかる面もある。
刃の形状がまっすぐ・曲がっているタイプ、刃の長い・短いタイプがありますが、機能に差はなく、自分の使いやすいものを使用すると良いでしょう。
また、片刃になっているので、右利き・左利きそれぞれ自分の利き手に合わせて用意しましょう。
刃の形状がまっすぐのタイプ【VICTORINOX(ビクトリノックス) ストレート】
刃の形状が曲がっているタイプ【VICTORINOX(ビクトリノックス) カーブ】
花資材 ハサミ・フローリストナイフの使い方と手入れ
ハサミ・フローリストナイフを長く使い続けていくコツは、メンテナンスと正しい使い方を常に実践し、自分の仕事を支えてくれるパートナーとして愛着をもって接することが大切です。
長く安全に使うために、下記の4点を守ってもらえると良いですね。
研ぐ
刃物は正しい使い方をしていても、使うたびに切れ味は劣化していきます。
時々、研ぎ器を使って、刃の手入れをしてあげましょう。
用途の違うものを切らない
刃物は、用途・切る対象に合わせて、形状・材質(金属の種類)・刃のつけ方などが異なります。用途の違うものを切ることで、刃がまるまってしまったりかけたりすることがあるので、くれぐれも守ってください。
たとえば…
- 花専用ハサミで、紙や段ボール等を切らない
- フローリストナイフを、カッター代わりにしない
安全面への配慮
フローリストナイフやカッターナイフの刃をむき出しにして、作業台に放置する・ハサミにカバーをしないまま服などのポケットに入れる(安全で丈夫なシザーケースなどはOK)などはしてはならない行為です。
用途違いの使い方や切れ味の落ちた状態の刃物を使うことは、カットする時に無理な力がかかってしまい、ケガや事故のもとになります。刃が破損したり、折れてしまう危険性もあるので、十分に気を付けてください。
衛生面への配慮
植物をカットするたびに、刃には植物の灰汁や植物に付いているバクテリアが付着していきます。そのまま、使い続けることは、切れ味の劣化だけでなく、他の花にも悪影響を与えることにつながるので、使うたびに刃を拭く習慣をつけましょう。
また、一日の仕事終わりには、灰汁の拭き取りとアルコール消毒をする習慣を励行するようにしましょう。